【症例報告】 新免疫療法による がん免疫療法

膵臓癌 手術不可 当院治療1年10ヶ月 ジェムザール併用

抗癌剤併用

患者様は71歳の男性です。平成16年12月に総合病院で膵臓癌が疑われて、大学病院で手術を受けるように言われました。 

膵臓癌は治療が難しいから、新免疫療法(NITC)を早く始めたいとの希望で、平成16年12月から開始しています。

平成17年2月に、大学病院で開復手術を受けましたが、膵臓癌を切除することができず、バイパス手術と手術中の放射線照射を受けたのみでした。

同じ月の中旬から、ジェムザール1500 mgを週1回で3週間連続投与し1週休みを2クール施行し、その後は、2週間連続投与し1週休みを続け、平成17年11月までに合計20クールを終了しています。その後2週間に1回の投与を続けました。

新免疫療法(NITC)開始時の腫瘍マーカーは、CA19-9が260 U/ml(基準値37 U/ml以下)、DuponⅡが160 U/ml(基準値150 U/ml以下)、SPANⅠが89 U/ml(基準値30 U/ml以下)およびエラスターゼ1が2300 ng/dl(基準値400 ng/dl以下)と異常値を示していました。2ヶ月目まではいずれも増悪を示していましたが、3ヶ月目からは順調に低下し続けています。

平成17年8月の8ヶ月目では全てのマーカーは基準値になりました。

超音波検査では、膵臓腫瘍(膵臓癌)は、6ヶ月目の平成17年6月に35×31×23 mm大(24,955 mm^3)で、8ヶ月目の8月には41×37×22 mm大(33,374 mm^3)と増大傾向を示しましたが、11ヶ月目の11月には半分以下の24×27×16 mm大(10,368 mm^3)まで縮小しました。

この患者様の免疫力は、Th1サイトカイン(IFNγやIL-12)については、開始時にはあまり認められなかった活性が、2カ月目と6カ月目の検査では強く認められるようになりました。

このTh1サイトカインの増強と、かつ、NK細胞数とその活性化が治療開始時より強いことが、この様な治療効果を発揮したものと推定されます。

一般の抗癌剤はTh1サイトカインを抑制し、NK、NKTは抑制しない事が我々の臨床経験で分かっています。

しかし、ジェムザールはTh1サイトカインも抑制しないことが新たに分かっています。

この患者様でも同様な結果が得られております。

また、膵臓癌が縮小するにつれ糖尿病を表すHbA1Cも初診時平成16年12月に9.8%(正常値5.8%以下)から平成17年11月には5.9%まで改善しております。

しかし、腫瘍マーカーのCa19-9値は平成17年11月には22U/mlまで低下しましたが、翌年の平成18年3月には220U/mlと上昇し、5月には460U/mlまで上昇しました。

超音波検査でも平成18年3月には29×25×19 mm大(13,775mm^3)と若干増大し5月には38×29×29mm大(31,958mm^3)と増大しました。
このことより、ジェムザールに対する耐性ができつつあると考えられましたので、平成18年9月には、TS-1へ変更しました。TS-1は低用量の80mg/日を、1週間服用し1週間休みとし、新免疫療法(NITC)との併用をしております。

【症例報告】 膵臓癌 超音波検査画像の推移
【症例報告】 膵臓癌 免疫検査および腫瘍マーカーの推移
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