【症例報告】 新免疫療法による がん免疫療法

脳腫瘍 多発性神経膠芽腫 再発予防 当院治療8年10ヶ月経過

新免疫療法単独

患者様は昭和50年生まれの男性で、平成11年(1999年)8月左前頭葉に脳腫瘍(2×3×4cm)が認められ(図2-1)、地域の基幹病院で手術を受けました。

病理組織診断は多発性神経膠芽腫でした。

この脳腫瘍は生物学的悪性度が高く、治療に苦慮することから、術後には放射線と抗癌剤の併用の必要性が示唆されております。

患者様は9月より、放射線照射は12回施行され、同時にACNU(ニドラン)とVP16(エトポシド)の併用投与されましたが、作用がつらいという理由で中止されています。

当院の初診時は手術後約2ヶ月目の10月初めでした。

3大療法の放射線、手術、抗癌剤治療いずれもTh1サイトカイン(IFNγ、IL-12)を抑制することはこれまでのデータ解析により明らかになっています。

この患者様も全ての治療を受けているために低下している可能性がありました。

患者様は28才のとき初診で、Th1サイトカインのIFNγは0.7 IU/ml、IL-12は7.8pg/ml以下でした。

このIFNγは非活性の状態を示し続け、10以上の29.6 IU/mlと活性化したのは約1年後の平成12年9月でした。

また、IL-12も同様に7.8pg/mlを超える35.3pg/mlと活性化が確認されたのは、平成12年12月の1年2ヶ月後でした。

一方、NKT細胞比率とNK細胞比率はほとんど抑制されていない状態でした。

この患者様の80ヶ月にあまる全経過を総括しますと、初期一年間の免疫能力はNK細胞とNKT細胞で活性が維持されています。

その後はTh1サイトカインのIFNγとIL-12は非活性となる事はありますが、良好な免疫能力を示しております。

脳腫瘍のマーカーと考えているICTP値は初診時の10月は6.0ng/ml、その後8.2ng/ml、9.5ng/mlと上昇していましたが、

その後低下傾向を示し、平成13年6月に上限の4.5pg/mlと正常値になるまで1年8ヶ月を要しておりました。

その後現在まで異常値を示しておりません。

手術後、脳のMRI検査は3ヶ月に1回、平成15年6月からは半年に1回のMRI検査を機関病院で受けておりました(図2-2~図2-5)。

一時、右前頭葉に空洞化現象が出現し脳の浮腫、及び脳腫瘍の再発が疑われましたが

それも消失し、平成13年5月(図2-4)から平成17年7月(図2-5)のMRI検査では、大きな変化が観察されないと放射線の専門医から判断され、良好な経過をたどっております。

新免疫療法も平成15年6月からは3ヶ月に1回の診察となり、

治療開始後8年10ヶ月目の現在プロの音楽家として元気に社会生活を送られています。

脳腫瘍 症例 多発性神経膠芽腫 腫瘍マーカーと免疫検査の経過
脳腫瘍 症例 多発性神経膠芽腫 MRI比較画像①
脳腫瘍 症例 多発性神経膠芽腫 MRI比較画像②
脳腫瘍 症例 多発性神経膠芽腫 MRI比較画像③
仕切り
新免疫療法によるがん治療の『TOP』に戻る
新免疫療法の『治療』に戻る
新免疫療法の『症例一覧』へ戻る
仕切り線
仕切り
Copyright(C) All Rights Reserved.