【症例報告】 新免疫療法による がん免疫療法

脳腫瘍 星状細胞腫瘍と胚細胞腫瘍 当院治療11ヶ月間で終了後に放射線治療

新免疫療法(NITC)単独

高校2年生の谷雄一さんは、平成14年5月に母親の公子さんに頭痛を訴えました。

そのときは公子さんも、これが悪性脳腫瘍との闘いのはじまりとは夢にも思いませんでした。

「カゼでもひいたのか」と考え、その夜はカゼ薬を飲ませて休ませました。

しかし翌日になっても、雄一くんの頭の痛みは治る様子がありません。

悪性脳腫瘍は、20歳以下で発生するケースが多い病気です。

腫瘍のために脳の体積が増し、頭蓋骨内の圧力が高くなるので、頭痛の症状が起きてきます。

お母さんが、頭痛のおさまらない雄一くんを近所の内科でなく脳外科へ連れていったことは、非常に良い判断だったといえるでしょう。

じつは公子さんには、脳腫瘍で亡くなったお姉さんがいました。

切除手術のあと再発したお姉さんが、頭の痛みをしきりに訴えていたのを思い出し、念のために一度、脳外科で検査を受けさせておこうと考えたのです。

お姉さんの悲しい記憶があるだけに、雄一くんの脳に3cmと2cmの脳腫瘍が二つある(図1:新免疫療法開始時)とわかったとき、公子さんが受けたショックは大きなものでした。

右前頭葉に小孔を開けての細胞診を施行され、その結果、グレード2のアストロサイトーマ(星状細胞腫)と診断されました。

「悪性度の高い腫瘍だから、すぐに手術しないといけない」
主治医はできるだけ早く手術することをすすめました。

脳腫瘍では、手術が最も有効な治療法であり、病巣を摘出できたときと、できなかったときでは予後が違ってくるからです。

しかし雄一くんのケースは、脳腫瘍のある場所が悪く、手術には大きなリスクがともなうとの説明でした。

手術しても再発の可能性が残るだけでなく、半身マヒが必ず起こり最悪の場合は人格面にも影響があらわれる。

そんな話を聞いて、ご両親が手術を躊躇されたお気持ちはよくわかります。


公子さんのお姉さんが手術の甲斐なく再発で亡くなっていたこともあり、「手術は受けさせない」という結論になりました。

手術を拒んだご両親が、ほかの方法でなんとか治せないかと考えて、山ほど読みあさったガン関連の書籍の中に私の書いた本があったのです。

主治医に新免疫療法のことを相談すると「手術しないのなら、手術にかわる治療を受けるほうがいいでしょう」といって、紹介状を書いてくれました。

その紹介所状を持参して東京三鷹にある私のクリニックへ尋ねて来られたのは、脳腫瘍が発見されてから2ヶ月後の7月のことです。

その時、雄一くんは脳圧を下げる治療を受けていました。ただちにILX、ILYを中心とする新免疫療法(NITC)が開始されました。

その効果が誰の目にもはっきりあらわれてきたのが、治療開始から約2ヶ月後の9月下旬に行われたMRIならびにCTの画像検査結果です。
図2が、そのときの診断画像です。

2ヶ月前の写真である図1と比べると、新免疫療法(NITC)によって白い腫瘍部分が著しく縮小しているのが分かります。

悪化を心配していた主治医が、驚いて私のところに連絡をくださいました。

「新免疫療法で改善した脳腫瘍の症例がほかにもあったら教えてほしい」といわれ、同じころ私が診ていた20歳の男性患者のデータをお送りした記憶があります。

雄一くんの脳腫瘍はその後も縮小を続け、平成15年4月の画像(図3)では薄い影がわずかに残るだけになりました。

平成15年6月には経済的なこともあり当治療を終了しました。

9月には状態に変化はなく調子が良いとの事でした。

11月に主治医が再度生検査したところ放射線が有効であるといわれるジャミノーマ(胚細胞腫瘍)であることが判明し、放射線治療が行われ脳腫瘍は完全に消失しました。

平成16年3月高校を卒業されて、現役で国立大学の教育学部に合格され、平成20年3月卒業予定との連絡をお母様よりうかがっております。

将来、教壇に立つときがきたら、死と向き合った今回の闘病体験がきっと役立つに違いありません。

この患者様はアストロサイトーマ(星状細胞腫瘍)とジャミノーマ(胚細胞腫瘍)の2種の腫瘍が存在していたものと考えられます。

新免疫療法にてアストロサイトーマ(星状細胞腫瘍)が改善し、ジャミノーマ(胚細胞腫瘍)の方は放射線治療で改善したものと推察されます。

脳腫瘍 星状細胞腫瘍と胚細胞腫瘍 症例 CT比較画像
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