がんが死亡原因の第1位をしめるようになったのは(厚生労働省の人口動態統計によりますと)昭和56年からであります。 この傾向は次第に強くなり平成17年にはとうとう32万人を超え3人に1人が がんで命を失う時代となりました。 一方、加齢と共に免疫能力は低下することもよく知られているところであります。
これまで報告したように新免疫療法が有効な免疫能力Th1サイトカインやNK細胞も加齢と共に低下することも明らかになりつつあります。 この患者様は九州に在住の昭和11年生まれの女性です。
左乳房に17mm×17mm大の腫瘍が左C領域に認められ、近くの総合病院で温存手術と左腋窩リンパ節の隔清の手術を平成16年12月に受けています。 その時のリンパ節転移は1群リンパ節に15個中5個の転移が陽性で2群にも1個中1個、3群にも7個中1個が陽性でStageⅢcでした。 ホルモン受容体はER(+)、PR(-)、HER2(-)でホルモン療法の有効性が示唆されました。 術後はホルモン療法のアルミデックスと抗癌剤CEF(エピルビシン70mg+エンドキサン、5FU)を2クール半行われたところで、白血球数が低下したため中断され術後4ヶ月目にホルモン療法をつづけながら平成17年 4月に新免疫療法(NITC)を希望され来院されました。 この時患者様は69歳でした。 初診時の乳癌関係腫瘍マーカーのCEA、CA19-9、Ca15-3、NCC-ST439、TPA、SLX-1、Ca125、Ca72-4、STN、NSE、BFP、SPAN-1はいずれも正常値でしたが、
骨転移マーカーのICTPのみが6.7ng/mlと異常値を示し、骨型ALPは28.2U/ml(基準値28.3以下)と正常上限値近くを示していました。 初診時の免疫能力のIFNγは11.6IU/ml(10IU/ml以上が活性化)IL-12は27.1pg/ml(7.8以上が活性化)と高く、
この傾向は平成19年11月まで高い活性を維持し続けております。 NKT細胞数は12.2%(10以上が活性化)、活性化NKT細胞比率6.5%(4.3以上が良好)と高い数値を示していましたが、NK細胞は非活性でした。 NK細胞が活性化したのは1年4ヶ月後でした。
この患者様は治療開始1ヶ月目にICTPが7.5ng/ml、骨型ALPは41.5U/mlと異常値を示していましたが、
平成18年10月(治療開始から1年6ヵ月後)には基準値以内に入りました。 またPET検査と骨シンチの画像には異常は認められておりません。 しかし、平成21年12月のCT検査で左腋窩リンパ節に再発が疑われました。 そして、平成22年3月に左腋窩リンパ節転移を切除し、放射線を25回、左鎖骨及び頸部に5回かけました。 その後の平成23年11月、平成24年11月の総合病院におけるCT検査にて特に問題は無いと診断されました。 平成24年12月の血液検査でICTPが4.6ng/mlと基準値4.5を超えましたが、平成25年11月のCT検査では異常なしと判断されています。 また、平成27年8月の診察では同年7月のCTも異常なしとの報告を受けました。 患者様ご本人とご家族の希望を踏まえ、副作用の少ないホルモン療法と新免疫療法(NITC)を続けて経過を観察しております。
そして、平成29年5月に、患者様から同年2月に総合病院でCT検査、MRI検査で異常が無かったと報告を受けました。
また、平成30年3月末(新免疫療法開始から12年11か月経過)の診察でも病状に変化が無く良好な経過を辿っていると報告を受けました。
がん治療において、経過観察を厳重に行うことは、がんの再発を早期に発見でき適切な治療につながるため、とても大切なことだと考えております。
がんが死亡原因の第1位をしめるようになったのは(厚生労働省の人口動態統計によりますと)昭和56年からであります。
この傾向は次第に強くなり平成17年にはとうとう32万人を超え3人に1人が がんで命を失う時代となりました。
一方、加齢と共に免疫能力は低下することもよく知られているところであります。
これまで報告したように新免疫療法が有効な免疫能力Th1サイトカインやNK細胞も加齢と共に低下することも明らかになりつつあります。
この患者様は九州に在住の昭和11年生まれの女性です。
左乳房に17mm×17mm大の腫瘍が左C領域に認められ、近くの総合病院で温存手術と左腋窩リンパ節の隔清の手術を平成16年12月に受けています。
その時のリンパ節転移は1群リンパ節に15個中5個の転移が陽性で2群にも1個中1個、3群にも7個中1個が陽性でStageⅢcでした。
ホルモン受容体はER(+)、PR(-)、HER2(-)でホルモン療法の有効性が示唆されました。
術後はホルモン療法のアルミデックスと抗癌剤CEF(エピルビシン70mg+エンドキサン、5FU)を2クール半行われたところで、白血球数が低下したため中断され術後4ヶ月目にホルモン療法をつづけながら平成17年
4月に新免疫療法(NITC)を希望され来院されました。
この時患者様は69歳でした。
初診時の乳癌関係腫瘍マーカーのCEA、CA19-9、Ca15-3、NCC-ST439、TPA、SLX-1、Ca125、Ca72-4、STN、NSE、BFP、SPAN-1はいずれも正常値でしたが、
骨転移マーカーのICTPのみが6.7ng/mlと異常値を示し、骨型ALPは28.2U/ml(基準値28.3以下)と正常上限値近くを示していました。
初診時の免疫能力のIFNγは11.6IU/ml(10IU/ml以上が活性化)IL-12は27.1pg/ml(7.8以上が活性化)と高く、
この傾向は平成19年11月まで高い活性を維持し続けております。
NKT細胞数は12.2%(10以上が活性化)、活性化NKT細胞比率6.5%(4.3以上が良好)と高い数値を示していましたが、NK細胞は非活性でした。
NK細胞が活性化したのは1年4ヶ月後でした。
この患者様は治療開始1ヶ月目にICTPが7.5ng/ml、骨型ALPは41.5U/mlと異常値を示していましたが、
平成18年10月(治療開始から1年6ヵ月後)には基準値以内に入りました。
またPET検査と骨シンチの画像には異常は認められておりません。
しかし、平成21年12月のCT検査で左腋窩リンパ節に再発が疑われました。
そして、平成22年3月に左腋窩リンパ節転移を切除し、放射線を25回、左鎖骨及び頸部に5回かけました。
その後の平成23年11月、平成24年11月の総合病院におけるCT検査にて特に問題は無いと診断されました。
平成24年12月の血液検査でICTPが4.6ng/mlと基準値4.5を超えましたが、平成25年11月のCT検査では異常なしと判断されています。
また、平成27年8月の診察では同年7月のCTも異常なしとの報告を受けました。
患者様ご本人とご家族の希望を踏まえ、副作用の少ないホルモン療法と新免疫療法(NITC)を続けて経過を観察しております。
そして、平成29年5月に、患者様から同年2月に総合病院でCT検査、MRI検査で異常が無かったと報告を受けました。
また、平成30年3月末(新免疫療法開始から12年11か月経過)の診察でも病状に変化が無く良好な経過を辿っていると報告を受けました。
がん治療において、経過観察を厳重に行うことは、がんの再発を早期に発見でき適切な治療につながるため、とても大切なことだと考えております。