【症例報告】 新免疫療法による がん免疫療法
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腎臓癌 多発骨転移 手術不可 当院治療7年経過 イレッサ併用

イレッサ併用

男性の患者様で、平成13年12月に、左鎖骨と左上腕骨に病的骨折を発病し、総合病院で精密検査を受けました。

その結果、左腎の下極に3cm大の原発腫瘍がCT画像上に認められ、生検の結果で腎癌と診断されましたが、骨シンチにより多発骨転移が指摘され、原発腫瘍に対する手術の適応はないとの考えで、上腕骨折の手術と左腎癌に対し腎動脈塞栓術のTAE(腫瘍部分の栄養血管を塞栓させる治療)を受け、平成14年7月の時点では、左腎癌は縮小傾向が認められました。

しかし、多発骨転移は進行したとのことでした。

新免疫療法(NITC)は、平成14年7月に、69歳の時に開始しました。

この時の腫瘍マーカーは、BFPが140 ng/ml(基準値75 ng/ml以下)と異常高値でしたが、3年目の平成17年6月から基準値内に入りはじめました。

また、骨転移のマーカーであるⅠCTPは、4.7 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)と高い値を示しておりましたが、2カ月目からほぼ基準値以下を示し続けております。

初診時の免疫能力をみますと、IL-12が8.0 pg/ml(7.8 pg/ml以上が活性化)とわずかに活性化し、NK細胞比率と活性化NK細胞比率はそれぞれ活性化を示していました。

鎖骨と左上腕骨の痛みが強かったために、多発骨転移を早く治療する目的で、2カ月目の平成14年9月から骨転移に有効との独自の発案から、イレッサ250mgの連日投与を併用しました。

平成15年8月からはイレッサの著しい効果が認められたため、隔日投与に減量し、平成15年12月からは3日に1錠まで減量し、現在に至っています。

平成14年10月と平成16年5月の骨シンチから、総合病院の放射線医によると著しく改善と判断されました。

平成14年9月から平成15年10月まで超音波検査において、左腎に径20mmほどの、腫瘍が確認されています。

しかし、平成15年11月以降は同部に腫瘍が指摘できなくなっています。

また、CT画像上も平成16年(2004年)12月に、総合病院の放射線医より腎臓腫瘍の局所再発所見なしと書かれた所見を頂きました。

そして、平成17年(2005年)2月から、ご本人の希望で新免疫療法の処方を段階的に減量しながら、主治医のもとで定期的な骨シンチ検査が行われ、平成18年(2006年)8月の骨シンチ所見でも悪化所見なしと診断されています。

平成21年(2009年)7月、患者様より、イレッサも継続していること、先月(同年6月)に行った画像検査で問題なしと言われたことの報告を受けました。また、調子は良く日常生活も通常に出来ているとのことです。

腎臓がん 骨転移 比較画像
腎臓がん 主病変 CT検査画像の推移
腎臓がん 免疫検査の推移および腫瘍マーカーの推移
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