【症例報告】 新免疫療法によるがん免疫療法
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前立腺癌 多発骨転移 当院治療4年9ヶ月間で卒業

ホルモン療法併用

患者様は71歳の男性で、平成13年2月に激しい腰痛と背部痛が認められ、

国立病院の泌尿器科で前立腺癌 (未分化腺癌)による多発骨転移と診断され、

それ以来歩くことができず車イス生活を余儀なくされた状態でした。

担当医から息子様へは『前立腺癌の末期癌で極めて予後が悪い』との説明がなされていました。

ただちに入院となり、プロスタール1日4錠とゾラデックスを月に1回のホルモン療法が開始されました。

入院時の前立腺癌の腫瘍マーカーPSA値は4700 ng/ml(基準値4.0 ng/ml以下)と異常高値を示しましたが、1ヶ月目には32.4 ng/mlまで低下しました。

その後、平成13年5月に、当院を受診されました。

初診時のPSA値は4.5 ng/ml(基準値4.0 ng/ml以下)まで低下しておりました。

骨転移のマーカーである1CTPは14.2 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)と高値を示し、

ALPも327 IU/ml(基準値260 IU/ml以下)と高値を示していました。

また、免疫検査では、NK細胞の比率は33%(11.0%以上が活性化)、活性化NK細胞比率(NKP(+))は32%(10%以上が活性化)、NKT細胞比率は10.9%(10%以上が活性化)と高い活性を示しました。

IFN-γは10.4 IU/ml(10 IU/ml以上が活性化)、IL-12値は9.8 pg/ml(7.8 pg/ml以上が活性化)とわずかに活性化が認められましたが、充分とはいえない程度でした。

しかし、2ヵ月目の平成13年7月には、IFN-γ値は31.4 IU/ml、IL-12は41.3 pg/mlと著しく改善しております。

PSA値も1.9 ng/mlと基準値域に入り、以後順調に低下しています。

前立腺癌の治療に対する新免疫療法(NITC)の各種免疫能力の貢献度について多変量解析したところ、Th1サイトカインのIL-12が最も貢献度が高く、次がNK細胞でした。

この患者様の場合は、IL-12は初め充分でなかったのですが、治療開始後に著しく改善しました。

また、NK細胞とNK細胞活性化は治療開始時より強力でした。

平成13年8月(3ヶ月後)に、背部痛が激しく、痛みをとる目的で放射線療法を放医研で、

多発骨転移の中で、最も痛みの集中する胸椎に受けております。

新免疫療法(NITC)と併用を続けておりましたホルモン療法は、

平成16年5月にはカソデックス(途中プロスタールより変更)を中止し、

その3ヵ月後にゾラディクスも中止しました。

しかし、PSA値は低下したままです。

新免疫療法(NITC)は、IL-X 6.0g/日、IL-Y 3.0g/日、サメ軟骨20g/日、クレスチン3.0g/隔日、そしてソニフィラン注とピシバニール5KEを1A/週からそれぞれ開始しましたが、平成14年1月より、ソニフィランの筋肉注射を中止し、ピシバニールの経口投与も月に1回に減薬されました。

平成17年2月からはクレスチンを中止し、平成17年8月よりIL-X 6.0g/日の単独投与としても、PSA値は0.2 ng/ml以下と低下したままでした。

平成18年2月からはIL-Xの投与も中止し、PSAの値を現在は経過観察しているところです。

平成13年2月の新免疫療法(NITC)開始前の骨シンチと平成14年5月の骨シンチを比較し、有効と診断されました。

平成17年6月に放射線科専門病院で骨シンチを受け異常を認めないとの診断を受けております。

平成23年1月息子様より電話を頂き、『父は元気にしています』とご連絡を頂きました。

前立腺がん 骨転移 比較画像
前立腺がん 骨転移 免疫検査の推移および腫瘍マーカーの経過
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