【症例報告】 新免疫療法による がん免疫療法
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前立腺癌 多発骨転移 当院治療6年経過

ホルモン療法併用

男性の患者様で、平成13年3月頃より排尿困難が出現し、9月に近医を受診し

検査でPSA値が921 ng/ml(基準値4.0 ng/ml)と高値を示していたため、

10月に大学病院の泌尿器科を紹介されました。

生検の結果で未分化型腺癌で、

骨シンチの結果では図に示したように、背椎、肋骨、骨盤骨、両側肩関節及び肩甲骨、左上腕骨、左大腿骨に多発骨転移を認め

StageD2の前立腺癌と診断されました。

直ぐに、睾丸摘出の手術を受けましたが、

この時、主治医からは予後が悪いと説明され、新免疫療法(NITC)を受けるようにと当院を紹介されました。

新免疫療法(NITC)は、平成13年10月末日の69歳の時に開始しました。

IL-X6.0g/日、IL-Y 3.0g/日、さめ軟骨20g/日、クレスチン3.0g/隔日、ピシバニール1A/月が処方され、この数日後に、ホルモン療法としてカソデックス80mg/日の併用も開始されております。

PSA値は、初診前同年9月の921 ng/mlが、初回の血液検査(開始後2週目)で280 ng/mlへと低下していましたが、まだまだ異常値でした。

その後、PSA値は少しずつ低下し続け、平成16年7月から基準値域に入りました。

溶骨性骨転移を示すⅠCTPは、開始後2週目で6.2 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)と高値を示しておりましたが、

その後は低下しつづけ、平成14年11月から基準値域に入りました。

造骨性骨転移を示す骨型ALP(平成16年7月から新しく導入したマーカー)は、

平成16年7月には33.6 U/ml(基準値29.5 U/ml以下)とまだ高値を示していましたが、平成17年8月から基準値域に入りました。

免疫能力をみますと、開始後2週目に、IFN-γ値は10.6 IU/ml(10.0 IU/ml以上が活性化)、そして、IL-12は8.8 pg/ml(7.8 pg/ml以上が活性化)とわずかに活性化されている状態でした。


2ヶ月目に、IL-12は8.2 pg/ml、IFN-γは12.0 IU/mlと活性化は示したものの、充分な量とはいえない状態でした。

そして、5ヶ月目では、IL-12もIFN-γも非活性化状態でした。しかし、この間もPSA値は低下し続けておりました。


その後、8ヶ月目で初めて、IFN-γが26.0 IU/ml、IL-12が21.4 pg/mlと充分な活性化が得られるようになりました。

この患者様は、NK細胞比率と活性化NK細胞比率が良好でした。

前立腺癌の免疫的貢献度を検討すると、IL-12が最も免疫的貢献度が大きく、次いでNK細胞比率が高いことが分かりつつあります。

この患者様の初回の免疫検査では、

NK細胞比率が20.7%(11%以上活性化が高い)、活性化NK細胞比率は18.8%(10%以上が活性化)と強い活性化が認められておりました。

その後も、Th1サイトカイン(IL-12、IFN-γ)と活性化NK細胞比率は充分な量が得られています。

平成13年10月(治療開始前)の骨シンチをみると、頚椎、胸椎、腰椎、骨盤骨、両側の肋骨及び左の大腿骨に集積像が著明に認められております。

腰椎と背中の痛み、そして、左の大腿骨の痛みは、歩くと強くなるとの症状がありましたが、

平成14年1月頃より症状の改善が認められ、その後は、全くといって良い程に消失するようになりました。

骨シンチでも平成15年3月、平成17年7月と改善しています。

尚、2年目の平成15年12月から医大でのカソデックス80mg/日は中止となっております。

少し免疫能力が発揮されるまで日時がかかりましたが、

4年半を経過した時点で全く痛みも消失し、農作業も普通にできるようになっております。

その後も良好な経過が続き、新免疫療法の処方も段階的に減量し、

平成19年4月の時点での処方は、食品2種類のみで通常量の半量まで減量しています。

大学病院での3か月に1度の腫瘍マーカー検査を軸に経過を観察しています。

前立腺がん 多発骨転移 比較画像 骨シンチ
前立腺がん 多発骨転移 腫瘍マーカーの推移および免疫検査の推移
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