25歳の男性で、右精巣腫瘍多発肺転移、後腹膜リンパ節転移、左鎖骨リンパ節転移を併発していました。 平成11年2月に公立の癌専門病院にて、睾丸切除術を受けており、その時の進行度はpT3N3M1a、StageⅢB2で、組織型はgerm cell tumors(胎児性癌)でした。
すぐに抗癌剤のVIP療法《シスプラチン 35mg、イホスファミド2.0mg、エトポシド 176mg×5日間》を受けたところ、左鎖骨上リンパ節は消失し、肺と腹部のリンパ節転移は50%以上縮小しましたが、副作用が激しくて続けられないとの事で、平成11年3月に当院に来院されました。 この患者様の腫瘍マーカーは、AFPが10 IU/ml以下、HCGも5.0 pg/ml以下とそれぞれ基準値内であったので、AFPとHCGのいずれも産生しない腫瘍であります。 従って、指標となるマーカーはⅠCTP(一般には骨転移のマーカーであるが、骨転移以外の広く一般的なマーカーとしても有用性がある)のみでした。 治療開始時には、このⅠCTPは 7.7 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)でしたが、開始後1ヶ月目の4月には3.7 ng/mlと一時的に正常化しましたが、開始後2ヶ月目の5月には5.0 ng/mlと高値になりました。 しかし、その日をさかいに以後は一度も異常値を示していません。 胸部X線では治療開始前の平成11年2月に3個認められた肺転移は、平成11年4月(当院治療開始から1ヶ月後)に消失しました。 また、腹部の大動脈近傍のリンパ節は、治療開始後2ヶ月目の5月には2.5×2.0×1.4 cm大の転移が超音波で確認されました。 それが、4ヶ月目の7月には1.8×1.5×0.9 cm大まで縮小し、7ヶ月目の10月には1.8×0.8×0.7 cm大、9ヶ月目の12月には0.8×0.6 cm大と更に縮小し、約1年後の平成12年3月の時点より腹部のリンパ節は消失したままです。
従って、この時点ですべての腫瘍は確認されない状態となりました。 免疫能力を検討しますと、初診時と治療開始2ヶ月目においてTh1サイトカインは全く産生されておらず、これは強力な抗癌剤による影響と推察されました。 治療開始後5ヶ月目の8月のTh1サイトカインは、IFNγが15.7 IU/ml(10 IU/ml以上が活性化)、IL-12が28.1 pg/ml(7.8 pg/ml以上が活性化)と回復しており、その後も高い値を示し続けていました。 腫瘍が確認されなくなった2ヶ月目の平成12年5月からクレスチン3.0g/日の隔日投与は中止とし、IL-X 6.0g/日から4.0g/日へ、サメ軟骨20g/日から10g/日へと減量し、6ヶ月目の9月からはIL-X 2.0g/日のみとなり、開始後4年目の平成15年2月には胸腹部CTとエコー検査で異常を認めないことを確認して服薬を中止しました。 治療を終了してから1年7ヶ月後の平成16年9月に、その秋に結婚なさるということでもう一度精密検査を受けに来院なさいました。 超音波検査で異常は認められず、胸部X線検査でも(右図参照)異常はありませんでした。
お父様のお便りによりますと、「息子は良くなって5年になりました。建設会社の仕事も朝7時に家を出て帰宅は夜の10時から11時と親としては身体のことで心配していますが、おかげさまで元気に働いております」とのお便りを頂いております。
25歳の男性で、右精巣腫瘍多発肺転移、後腹膜リンパ節転移、左鎖骨リンパ節転移を併発していました。
平成11年2月に公立の癌専門病院にて、睾丸切除術を受けており、その時の進行度はpT3N3M1a、StageⅢB2で、組織型はgerm cell tumors(胎児性癌)でした。
すぐに抗癌剤のVIP療法《シスプラチン 35mg、イホスファミド2.0mg、エトポシド 176mg×5日間》を受けたところ、左鎖骨上リンパ節は消失し、肺と腹部のリンパ節転移は50%以上縮小しましたが、副作用が激しくて続けられないとの事で、平成11年3月に当院に来院されました。
この患者様の腫瘍マーカーは、AFPが10 IU/ml以下、HCGも5.0 pg/ml以下とそれぞれ基準値内であったので、AFPとHCGのいずれも産生しない腫瘍であります。
従って、指標となるマーカーはⅠCTP(一般には骨転移のマーカーであるが、骨転移以外の広く一般的なマーカーとしても有用性がある)のみでした。
治療開始時には、このⅠCTPは 7.7 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)でしたが、開始後1ヶ月目の4月には3.7 ng/mlと一時的に正常化しましたが、開始後2ヶ月目の5月には5.0 ng/mlと高値になりました。
しかし、その日をさかいに以後は一度も異常値を示していません。
胸部X線では治療開始前の平成11年2月に3個認められた肺転移は、平成11年4月(当院治療開始から1ヶ月後)に消失しました。
また、腹部の大動脈近傍のリンパ節は、治療開始後2ヶ月目の5月には2.5×2.0×1.4 cm大の転移が超音波で確認されました。
それが、4ヶ月目の7月には1.8×1.5×0.9 cm大まで縮小し、7ヶ月目の10月には1.8×0.8×0.7 cm大、9ヶ月目の12月には0.8×0.6 cm大と更に縮小し、約1年後の平成12年3月の時点より腹部のリンパ節は消失したままです。
従って、この時点ですべての腫瘍は確認されない状態となりました。
免疫能力を検討しますと、初診時と治療開始2ヶ月目においてTh1サイトカインは全く産生されておらず、これは強力な抗癌剤による影響と推察されました。
治療開始後5ヶ月目の8月のTh1サイトカインは、IFNγが15.7 IU/ml(10 IU/ml以上が活性化)、IL-12が28.1 pg/ml(7.8 pg/ml以上が活性化)と回復しており、その後も高い値を示し続けていました。
腫瘍が確認されなくなった2ヶ月目の平成12年5月からクレスチン3.0g/日の隔日投与は中止とし、IL-X 6.0g/日から4.0g/日へ、サメ軟骨20g/日から10g/日へと減量し、6ヶ月目の9月からはIL-X 2.0g/日のみとなり、開始後4年目の平成15年2月には胸腹部CTとエコー検査で異常を認めないことを確認して服薬を中止しました。
治療を終了してから1年7ヶ月後の平成16年9月に、その秋に結婚なさるということでもう一度精密検査を受けに来院なさいました。
超音波検査で異常は認められず、胸部X線検査でも(右図参照)異常はありませんでした。
お父様のお便りによりますと、「息子は良くなって5年になりました。建設会社の仕事も朝7時に家を出て帰宅は夜の10時から11時と親としては身体のことで心配していますが、おかげさまで元気に働いております」とのお便りを頂いております。