【症例報告】 新免疫療法による がん免疫療法
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肺腺癌 胸膜播種 粟粒性肺転移 骨転移 手術不能 当院治療5年11ヶ月経過

イレッサ併用4年10ヶ月
患者様は74歳の女性で、平成13年8月に都内の大学病院にて、右肺腺癌(肺癌)StageⅢB以上(T4N1MxPM(+))CTにて胸膜播種あり余命6ヶ月の病状と診断され、対症療法が適当とされました。

抗癌剤投与は受けたくないとのことで、来院され、新免疫療法(NITC)を同年8月から開始しました。

初診時の腫瘍マーカーは、CEA、CA19-9、SpanⅠ、NSE、CA15-3のいずれも正常値を示しましたが、唯一BFPのみが89ng/ml(正常値75 ng/ml以下)とわずかに高い値を示しておりました。

また、免疫能力は極めて高く、Th1サイトカインのIFNγは73.1 IU/ml(10 IU/ml以上が活性化)、IL-12は82.3 pg/ml(7.8 pg/ml以上が活性化)と高い値を示し、活性化NKT細胞比率も良好でした。

新免疫療法(NITC)10ヶ月継続後、CA15-3が50 U/ml(基準値30 U/ml以下)と増加傾向を示したので、平成14年10月よりイレッサ250mg/日の併用をすることになりました。

併用後1ヵ月目には、CA15-3は14 U/mlと基準値域内になりました。

イレッサで効果を示す患者様は以下の免疫能力を示すことが分かりつつあります。

その第1条件はIL-12が10 pg/ml以上の産生能力を示すこと、第2の条件は活性化NKT細胞比率(NKT(P+)細胞)が5.0%以上であること、そして第3の条件はイレッサを投与中にTh1/Th2比が増加することでした。

この患者様は3つの条件を満たしておりました。

しかし、併用後1ヵ月目で味覚障害と皮膚症状(ニキビ)がひどくなったため、BFPは79 ng/ml(基準値75 ng/ml以下)と高値ではありましたが、イレッサを隔日投与に減量しました。

併用後5ヵ月目の平成15年3月には、腫瘍マーカーのBFPは基準値内に入り、CA15-3基準値内を維持したままで、原発巣の肺腺癌(肺癌)も縮小したままでした。

そこで、併用後7ヶ月目の5月よりイレッサを3日間に1錠に減らしました。

平成16年8月(治療開始から3年後)のCTで右肺腺癌(肺癌)は著しく縮小しました新免疫療法(NITC)を、初めの14ヶ月間は単独で、その後はイレッサを併用(1錠/日→1錠/2日間→1錠/3日間→現在に至る)して、計5年で、9月の時点で6年目に入ります。

この患者様は極めて免疫力が高く、肺癌の自覚症状もなく、副作用も抑えられ、平成18年2月のCT画像上でも維持しているため、もう少しこのままで経過をみることにしております。

私の個人的な見解ですが、それぞれの患者様におけるイレッサの有効投与量は決まっているのではないかと考えています。

有効投与量を、連日で投与してすぐに使い切ってしまえば効果が持続する期間は短くなるし、隔日あるいは3日に1錠、時には4日に1錠の最小投与で維持できれば効果が持続する期間は長くなるのではないかと考えています。

その方が患者様のためには良い方法ではないかと思うのです。

なぜなら、イレッサは癌を根治する治療薬ではなく、あくまでも癌の発育、増殖や転移を防ぐ薬物であるからです。
肺腺癌 CT検査画像の推移
免疫検査および腫瘍マーカー検査の推移 肺腺癌
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