63歳の男性で、平成14年3月に、急な痛みが出て歩行困難となり、開業医(整形外科)にて単なる筋肉痛と診断され、1年後の平成15年3月に、大学病院で精密検査をした結果、原発不明の骨盤の骨腫瘍であり、左腸骨(骨盤骨)に15cm大の巨大な上皮性の転移性骨腫瘍(生検にて)があると診断されました。
この診断後より、放射線療法が20回行なわれ、計40Gyが照射されました。その後、骨盤腫瘍の増大と溶解が認められ、MSコンチン90mg/日が必要な痛みが出現し、平成16年9月に、当院に初診となりました。
初診時の腫瘍マーカーは、PIVKA-2が29200 mAU/ml(基準値40 mAU/ml未満)と異常高値を示し、SPan-1が83 U/ml(基準値30 U/ml以下)、ⅠCTPが11.2 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)でありました。
この時の免疫能力は、Th1サイトカインのIFNγが29.3 IU/ml(10 IU/ml以上が活性化)、IL-12は31.6 pg/ml(7.8以上が活性化)とそれぞれ高い活性化が認められ、また、NK細胞とNKT細胞のいずれもが活性が強いことが明らかとなりました。
初診時に29,200 mAU/mlと異常高値を示していたPIVKA-2は、月ごとに著しく減少しました。
4ヶ月目の平成17年1月には9710 mAU/mlまで低下しており、この頃に、大学病院でのMRIの結果で良くなっていると診断されました。この間に、痛みが軽減し続けておりましたが、7ヶ月目の平成17年4月には、痛み止めは不要になりました。
その後、平成17年9月に、主治医から手術をすすめられ、その際に右足の切断はやむをえないと説明されました。
ご本人は、なんとか手術を避けたいと希望され、経過観察となりました。
平成18年2月には、腫瘍部が柔らかくなり、たたいても痛みがなくなりました。
3月には、レントゲン写真とCTで骨腫瘍が少し縮小したことが確認され、また、主治医からは骨腫瘍が柔らかくなっていると言われました。
5月にはCTとMRIの画像でゆっくりだが、骨腫瘍がおおきくなっていると主治医に言われました。
6月に再度、大学病院の主治医より手術をすすめられましたが、痛みが無いので、ご本人は、このまま新免疫療法(NITC)だけで経過をみたいと希望されています。