新免疫療法(NITC)の有効率

新免疫療法(NITC)の治療効果
判定方法の基本的な考え方。新免疫療法(NITC)の有効率
癌の治療方法の有効性を評価する手法は、基本的には画像による評価が提唱されており、かつ生存期間の延長による評価が通常です。
しかし、多くは新薬の評価及び再評価に際して用いられている方法で、認可後の通常の癌治療の評価にこれを適用するのは中々難しいのが現状です。
現実として、どこの施設においてもその治療に対する有効率は個々の研究発表ごとに「評価方法および有効率の出し方を記載して」発表されています。
従って他の施設の有効率や奏効率と単純に比較することは難しいのです。
当院の判定基準は癌治療学会の効果判定基準とは異なり、腫瘍マーカーを用いた効果判定となっています。
私どもはさまざまな癌種の患者様を外来診療で受け入れています。このホームページで示しているように、判定基準に腫瘍マーカーを組み入れて個々の症例の有効性を判定し、有効率を求めています。
また腫瘍マーカーは癌種ごとに異なったものが複数提言されていますが、臨床では患者様の病勢によってその異なった腫瘍マーカーの1つが増加、1つが減少という状況が頻繁にあります。私どもは統計的に最も適切な癌種ごとの腫瘍マーカーを選別し、独自の優先順位を付けております。下表の有効率は以上の考えを元に示したものです。
新免疫療法(NITC)の有効率

新免疫療法(NITC)の治療効果(n=1942)

  R+LLS+LS+LNRS R LLS LS SS LNRS SNRS NR 総計
肺癌(腺) 93 37.3% 59 11 14 17 9 42 97 249
肺癌
(扁平上皮)
18 40.9% 14 0 2 4 2 8 14 44
肺癌
(小細胞)
6 40.0% 5 0 1 0 0 3 6 15
肺癌(大細胞) 3 42.9% 2 1 0 0 0 0 4 7
肺癌
(その他・組織不明)
21 38.2% 17 2 2 4 0 12 18 55
消化器 胃癌
(低分化及び印環細胞)
12 37.5% 12 0 0 3 0 4 13 32
胃癌(組織型不明) 58 38.2% 42 7 6 13 3 31 50 152
食道癌 21 44.7% 18 2 1 2 0 5 19 47
結腸癌 67 29.3% 48 2 10 13 7 46 103 229
直腸癌 31 23.8% 22 3 3 4 3 45 50 130
膵癌 18 23.4% 11 2 3 5 2 10 44 77
肝癌 56 46.7% 33 11 5 4 7 16 44 120
胆道癌 8 22.9% 6 1 0 2 1 3 22 35
婦人科 乳癌 180 56.3% 130 21 13 14 16 53 73 320
卵巣癌
(明細胞)
8 57.1% 5 1 1 2 1 1 3 14
卵巣癌
(その他)
34 43.6% 26 4 4 4 0 20 20 78
子宮癌
(子宮体)
7 36.8% 5 1 0 1 1 1 10 19
子宮癌
(子宮頸)
26 47.3% 15 7 3 5 1 2 22 55
泌尿器 前立腺癌 30 44.8% 14 5 9 3 2 13 21 67
腎癌 25 53.2% 18 4 2 6 1 9 7 47
精巣癌 4 40.0% 2 1 0 0 1 2 4 10
膀胱癌 11 68.8% 10 0 1 1 0 3 1 16
腎盂・尿管癌 0 0.0% 0 0 0 0 0 1 2 3
頭頚部 咽頭癌 10 45.5% 9 0 0 0 1 5 7 22
喉頭癌 2 33.3% 1 0 1 1 0 0 3 6
顎癌 0 0.0% 0 0 0 1 0 3 3 7
舌癌 6 60.0% 4 2 0 1 0 2 1 10
副鼻腔癌 1 33.3% 0 1 0 0 0 0 2 3
耳下腺癌 2 33.3% 2 0 0 0 0 2 2 6
皮膚 悪性黒色腫 7 63.6% 6 1 0 1 0 0 3 11
血液 悪性リンパ腫 25 71.4% 19 2 1 3 3 2 5 35
骨・軟部腫瘍 軟部腫瘍
(悪性中皮腫)
3 60.0% 3 0 0 0 0 2 0 5
その他 甲状腺癌 4 57.1% 1 1 1 0 1 2 1 7
胸腺癌 7 87.5% 5 1 0 0 1 1 0 8
Paget病 1 100.0% 1 0 0 0 0 0 0 1
総計   805   565 94 83 114 63 349 674 1942
  41.4%   29.1% 4.8% 4.3% 5.9% 3.2% 18.0% 34.7%  
2004年4月15日 現在
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新免疫療法(NITC)の有効率の表
判定方法について 新免疫療法(NITC)の有効率
本治療法における効果は、その特性から少なくとも 16週間以上の継続した治療及び腫瘍マーカーの測定が必要と考えられる。
従って、効果判定も治療開始後12週間は困難であり、この期間を経過観察期とする。
その後、効果判定期の腫瘍マーカー検査結果について以下の方法で効果判定を行う。
目的 新免疫療法(NITC)の有効率
本治療を施行した症例の腫瘍マーカーと免疫能の関係を明らかにし、今後の本治療をさらに進歩させる為の指針の基礎とすることを目的とする。
すなわち、腫瘍マーカーおよび免疫能の変化と治療効果、さらには生存期間との関係を明らかにし、より効果的な治療方法を目指す。
判定対象 新免疫療法(NITC)の有効率
1997年9月以降初診の患者を対象に 2004年4月15日までの血液検査結果を用いて判定した。ただし、以下に示す判定法により、初期検査、経過観察期間中の検査、本治療開始より12週以後の効果判定期間の検査結果を有する症例が対象となる。
判定方法 新免疫療法(NITC)の有効率
本治療は原則的に他院での様々な治療との併用が含まれると考えられる。
従って、本治療の効果と併用療法の効果を厳密に判別することは困難であるため、本院来院時の初期検査(初診日より 28 日以内)とその後経過観察期間中の検査から回帰される傾向に対し、効果判定期間中の検査結果がどう変化しているかを効果判定の基準とした。その詳細は以下に示す通りである。
判定方法の基本概念図 新免疫療法(NITC)の有効率
<Response(R):治療効果あり>
治療開始後3ヶ月未満の腫瘍マーカーの推移傾向を改善の方向へ変化させることができた場合を治療効果ありとする。
<Non Response(NR):治療効果なし>
治療開始後3ヶ月未満の腫瘍マーカーの推移傾向を改善の方向へ変化させることができなかった場合を治療効果なしとする。詳細な規定に関しては以降に示す。
経過対象期間中に判定対象となる腫瘍マーカーが増加傾向を示した場合 新免疫療法(NITC)の有効率
ggg
Response(R):効果判定期間の検査結果が傾向から回帰される12週目の値より低い。
Non Response(NR):効果判定期間の検査結果がそのまま増加傾向にある。ただし、その後腫瘍マーカーの上昇が認められず、NRの状態を維持した場合はその期間によってShort NR Stable(SNRS:半年未満),Long NR Stable(LNRS:半年以上)とする。
Stable:RとNRのどちらにも該当しない。ただし、その期間によってShort Stable(SS:半年未満), Long Stable(LS:半年以上1年未満),Long Long Stable(LLS:1年以上)とする。
初期検査の値が基準値以内でありかつ経過観側機関中に基準値を超えた場合 新免疫療法(NITC)の有効率
判定方法①概念図 新免疫療法(NITC)の有効率
Response(R):効果判定期間の検査結果が基準値内に戻る。
Non Response(NR):効果判定期間の検査結果がそのまま増加傾向にある。ただし、その後腫瘍マーカーの上昇が認められず、NRの状態を維持した場合はその期間によってShort NR Stable(SNRS:半年未満),Long NR Stable(LNRS:半年以上)とする。
Stable:RとNRのどちらにも該当しない。ただし、その期間によってShort Stable(SS:半年未満), Long Stable(LS:半年以上1年未満),Long Long Stable(LLS:1年以上)とする。
経過観測期間中に対象となる腫瘍マーカーが平衡状態である場合 新免疫療法(NITC)の有効率
初期検査の値が基準値外である場合
判定方法②概念図 新免疫療法(NITC)の有効率
Response(R):効果判定期間の検査結果が初期検査の85%未満へ減少する。
Non Response(NR):効果判定期間の検査結果が初期検査の115%を超えて増加する。
ただし、その後腫瘍マーカーの上昇が認められず、NRの状態を維持した場合はその期間によってShort NR Stable(SNRS:半年未満),Long NR Stable(LNRS:半年以上)とする。
Stable:効果判定期間の検査結果が初期検査の±15%以内である。ただし、その期間によってShort Stable(SS:半年未満), Long Stable(LS:半年以上1年未満),Long Long Stable(LLS:1年以上)とする。
初期検査の値が基準値以内である場合 新免疫療法(NITC)の有効率
判定方法③概念図 新免疫療法(NITC)の有効率
Response(R):該当なし。
Non Response(NR):効果判定期間の検査結果が基準値を超える。
ただし、その後腫瘍マーカーの上昇が認められず、NRの状態を維持した場合はその期間によってShort NR Stable(SNRS:半年未満),Long NR Stable(LNRS:半年以上)とする。
Stable: 該当なし。
経過観測期間中に対象となる腫瘍マーカーが減少傾向を示す場合 新免疫療法(NITC)の有効率
経過観測期間中の値が基準値を超える場合 新免疫療法(NITC)の有効率
判定方法④概念図 新免疫療法(NITC)の有効率
Response(R):効果判定期間の検査結果がそのまま減少傾向にある。
Non Response(NR):効果判定期間の検査結果が傾向から回帰される84日目の値より高い。ただし、その後腫瘍マーカーの上昇が認められず、NRの状態を維持した場合はその期間によってShort NR Stable(SNRS:半年未満),Long NR Stable(LNRS:半年以上)とする。
Stable:RとNRのどちらにも該当しない。(その期間によってShort Stable(SS:半年未満), Long Stable(LS:半年以上1年未満),Long Long Stable(LLS:1年以上)などに分類される。)ただし、その期間によってShort Stable(SS:半年未満), Long Stable(LS:半年以上1年未満),Long Long Stable(LLS:1年以上)とする。
初期検査値が基準値を超えておりかつ経過観測期間中に基準値内に加工した場合新免疫療法(NITC)の有効率
判定方法⑤概念図 新免疫療法(NITC)の有効率
Response(R):該当なし。
Non Response(NR):効果判定期間の検査結果が基準値を超える。
ただし、その後腫瘍マーカーの上昇が認められず、NRの状態を維持した場合はその期間によってShort NR Stable(SNRS:半年未満),Long NR Stable(LNRS:半年以上)とする。
Stable:該当なし。
<マーカーの選抜>
より的確な効果判定を行うため、初期検査に対し経過観測期間中に最も大きな増加率(一日あたりの増加率)を示した腫瘍マーカーをその症例の効果判定対象マーカーとする。
<誤差の補正>
比較対象検査値の±15%以内は測定誤差・生理的変動の範囲内である可能性が高いため増加および減少と認めない。
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